NORTH STARはRJLを変えたか?:FLORES、ASH、FINKAに着目して

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はじめに

 こんにちは、ボンゴレドミンゴと申します。先週から新シーズンY6S2、NORTH STARが始まりましたね。ランク回していますか?

 アプデ容量が4GBくらいと小さかったことが象徴的ですが、昨シーズンほど大きな変更があったシーズンではないという印象です。THUNDERBIRDの登場、ASHのナーフ、各マズルの仕様変更あたりが割と重要といった感じ。

 一方、競技シーンに目を向けると、FLORESの解禁というクソデカイベントがありました。爆発物4つ持ち、盾メタの終わりなど、色々と物議をかもすFLORESの参入は、競技シーンにどのような影響を与えたのでしょうか。 グローバルな競技シーンにおける新シーズンの影響はSiegeGGでHaydar Ali氏が詳細な分析をされていますが、日本国内に目を向けるとどういった影響があったのでしょうか。本稿では、FLORESの登場、ASHのナーフ、加えて、FINKAの仕様変更という新シーズンの環境変化がRJLに与えた影響について、ピック率等を参照しながら見ていきたいと思います。

FLORESの登場による影響

 まずはFLORESです。基本的なスペックは公式を参照していただくとして、本稿で注目するポイントは、

・どこで使われているのか?

・どのオペレーターの代役として使われているのか?

・攻撃有利な環境を作っているのか?

というあたりになります。新シーズンが始まって最初の国内リーグ、第9節のデータと、第8節以前のデータを照らし合わせて考えてみましょう。

どこで使われているの?

 そもそもFLORESってどれくらい使われているのでしょうか。第9節のピック率を調べると、下表のようになりました。

 第9節の全108ラウンドのうち、47ラウンドでピックされ、20ラウンドはBANされていました。従って、ピック率は46%、BANも合わせると62%に達します。攻撃オペレーターでこれ以上用いられているのはSLEDGE、ZOFIA、IANAのみ。新登場にしていきなり環境の主役オペレーターになっていることが分かります。

 多くのマップで50%以上のプレゼンスを誇っているため、どこで使われているか?というより、どこで使われていないのか?を見る方が特徴をつかみやすいでしょう。表を見ると、ヴィラで比較的プレゼンスが低いことが分かります。ヴィラをプレイしたSengoku、FAV、REJECT、CGLは他のマップではしっかりFLORESを攻撃に組み込んでいるため、チームとしてFLORESを採用しないというよりも、やはりヴィラはFLORESの使いどころが少ないのでは、という印象を持ちます。相手が飛行展示室を防衛するだろうシチュエーションでのみピックされており、赤階守り、南階段守りの展開型シールドに対して差し込むことを想定していそうです。彫像展示室防衛では天文室の盾を壊すのに有用そうですが、シグナルディスラプターで阻害しやすく、キッチン防衛ではそもそも拠点の外に防弾ガジェットをそこまで置かないことを考えると、FLORESの使い道が少ないのかもしれませんね。

 また、これは試合を観た体感ですが、屋上から差し込める系の拠点、カフェの3階や領事館の2階、海岸線の2階はかなりラテロを差し込みやすく、防衛側からすると厄介そうですね。オレゴン地下や2階は狭く守る都合上、ラテロを差し込めたら強そうですが、ディスラプターを置きやすく対処もしやすいのかな…という印象です。なんかの間違いでTHATCHERとFLORESが両方オープンになった場合、防衛側が地獄を見そうですね。

どのオペレーターの代役として使われているの?

 これは、どの選手がFLORESを担当しているか見ると分かりやすそうです。下表に各チームでFLORESを最もよく使っていた選手を示します。

 かなり雑な表になってしまいましたが、こうしてみると、アタッカーおよびソフトブリーチ担当の選手がFLORESをピックしているパターンと、ピックで作戦に変化をつけるタイプの選手がピックしているパターン、Merieuxの3つに分かれそうです。世界的にはASHやZOFIAメインだった選手がFLORESを担当している例が多いらしく、日本は割と特殊な例かもしれません。素人の感想ですが、FLORESを担当してガジェットをフルに使う場合、30~40秒はドローンを操作しており、その間は安全な場所にいないといけないことから、前線で撃ち合ってほしいアタッカータイプの選手を配することが適しているのかよく分かりません。その辺りは今後、各チームがFLORESに慣れてきたころに明らかになりそうです。

攻撃有利な環境を作っているの?

 で、実際、FLORESは防衛に地獄を見せているのでしょうか。「FLORESが出てくるかもしれない」だけで防衛のピックに影響を与えうるので、ここでは第8節までと第9節の防衛ラウンド取得率を比較してみましょう。下表に示す通りです。

 今のところ、防衛ラウンド取得率はむしろ微増しており、FLORESの登場によって防衛がしんどくなっているということが表面上は見えていません。しかし、世界的には防衛ラウンド取得率が大きく落ち込んでおり、また、シンプルにこれまでの盾メタが脆くなっていることは事実だと思うので、ここからの数字の動きには注目したいですね。

ASHのナーフによる影響

 ピック率のとびぬけた高さを理由に、ブリーチング弾の減少、R4-Cのリコイル増というナーフを受けたASH。昨シーズンのフラバン没収と合わせて、かなり玄人向けオペレーターとなっていますが、プロシーンではどういう影響があったのでしょうか。ピック率の変化を見てみましょう。

 非常に分かりやすい結果が出ていますね。ASHのピック率が急落、ZOFIAは変わらず高いプレゼンス、ASHの代替としてIANA、FLORESが台頭、という「知ってた」結果となりました。先述の防衛ラウンド取得率の変化のなさと合わせて、「もはやASHじゃなくても問題ない」という残酷な現実が見えていますね。ASH一択な環境を嫌ってのナーフだったと思うので、次はZOFIAの番でしょうね。

FINKAの仕様変更による影響

 回復周りの仕様変更が行われた中でひっそりと強化されたFINKA。海外ではDarkZeroが作戦に組み込んだりしていて、まさかのプレゼンスの急上昇を見せていますが、RJLにもFINKAの波が少し来ている気がしたりしなかったり。REJECTのNoTimeGG選手が海岸線でちょっと使ってた、というだけなんですけどね。NoTimeGG選手は海岸線攻撃においては終盤まで建物内にエントリーせず、屋上からロックを入れる係をしていることが多いんですが、そうすると大体のオペレーターのガジェットが腐ってしまいかねません。そんな中、FINKAのアドレナリンサージなら、遠隔で味方の撃ち合いにバフをかけるというNoTimeGG選手のムーブにぴったりの効果をもたらすことができる、ということなのでは。LIONやDOKKAEBIも選択肢に入りそうですが、体力回復が永続になったFINKAは選択肢として魅力が増しているように思います。

おわりに

 FLORESの登場、ASHのナーフ、FINKAの仕様変更という新シーズンの環境変化がRJLに与えた影響を見てきました。ここのオペレーターのプレゼンスに変化はあったものの、まだ攻防のバランスに影響を与えるほどではないようですね。しかし、これから徐々に徐々にFLORES環境の影響は出てくると思います。BANをFLORESに割くのか?弱くなる拠点と、それによるマップの優先度に変化はあるのか?防衛はどのラインで勝負をかけるのか?避けられない変化と、それにプロがどのように対応するのか、今後も楽しみにRJLを観戦していきたいですね。

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この記事を書いた人

SiegeGamers発起人。
プロチームに3年半ほど所属していたので、その経験や知識を活かして皆さんに分かりやすく記事を書けたらと思っております。

東京デザインテクノロジーセンター専門学校 プロゲーマー専攻講師

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